ハリナシバチの飼育に大きな手間はかかりませんが、その手間はふさわしい時期にかける必要があります。正しい作業でも時期を誤れば、何もしないより悪い結果になることさえあります。
典型的な例が、雨季の初めに分蜂させることです。花の季節を終えて群が充実しているのだから理にかなっているようにも思えますが、分けたばかりの子群はまだ弱く、湿っぽくて花の少ない数か月にいきなり突き当たれば、あっけなく駄目になってしまいます。
以下は四つの時期に分けた作業暦です。月の目安は Tây Nguyên(中部高原)と Nam Bộ(ベトナム南部)の気候にもとづいています。北部は時期がずれ、寒い季節も加わりますので、地域に合わせて調整してください。
乾季の終わり、花の季節のはじまり(およそ12月〜2月)
群が回復しはじめ、一年で最も勢いのある季節に備える時期です。
- 巣を一つずつ全体点検します。ふたを開け、育児巣板がそろっているか、蜜壺と花粉壺がどれだけ残っているかを見ます。
- 弱った群はすぐ手当てします。この先に花の季節が控えているので、立て直すには最良の時期です。雨季になってから対処したのでは、たいてい手遅れです。
- アリ対策・シロアリ対策を確認します。巣箱の脚のグリスを塗り直し、橋になる落ち葉を片づけます。
- 空の巣箱を用意します。分蜂させるつもりなら早めに作り、木の匂いを抜いておきましょう。
花の盛り(およそ2月〜5月)
黄金の季節です。Tây Nguyên ではコーヒーの花の季節にあたり、ほかの多くの地域では果樹が咲く時期です。
- 分蜂させるのはこの時期です。群は数がそろい、餌源も豊富で、子群は雨季までに態勢を整える条件がそろっています。分蜂の技術をご覧ください。
- 不要なふた開けは控えます。群は全力で働いています。邪魔をしないでください。
- 農薬に気をつけます。花の季節は、多くの果樹園が薬を散布する季節でもあります。一年のうちで最大の危険です。
- 採蜜を考えるのは季節の終わりになってから——しかも群に蓄えの余裕があるときだけです。
雨季(およそ6月〜9月)
いちばん難しい時期です。雨が多く、蜂は外に出にくく、湿度が高く、カビも生えやすくなります。
- 雨よけの屋根と水はけを点検します。巣箱に水が漏れれば群ごと駄目になります。
- 湿った日にふたを開けないでください。開ければ湿気が入り込み、蜂は巣内を整え直すのに余計な力を使うことになります。
- 分蜂させないでください。子群は態勢を整えるのが間に合いません。
- 採蜜もしないでください。群はこの季節を越すために蓄えを必要としています。
- カビの兆候に注意します——巣門の様子に異変が見えたときだけ開けて確かめ、その日は晴れて乾いた日を選びます。
雨季の原則は一言で言えます。群をそっとしておくことです。
雨季の終わり、乾季のはじめ(およそ10月〜11月)
群が雨季から立ち直りはじめます。
- 雨季明けに全面点検をします。どの巣が湿気てカビたか、どの巣が数を減らしたかがわかるのはこの時です。
- 巣箱のまわりを掃除し、雨のあいだに伸び放題になった雑草を刈ります。
- 蓄えを使い切った群には補助給餌を。まだ花が咲いていない場合です。薄い砂糖水を与え、花が咲いたらすぐにやめます。
- 次の花の季節に向けて計画を立てます。どの巣を分けるか、巣箱があといくつ必要か。
一年を通しての仕事
季節を問わない仕事が三つあります。
- 毎週、巣門を観察します。二、三分で十分です。蜂の出入りが安定し、花粉を持ち帰っていれば順調です。これがいちばん安上がりで、いちばんよく効く早期発見の方法です。
- 記録をつけます。点検した日、見たこと、したこと。一年たてば、自分の蜂場だけの作業暦ができあがり、どんな一般論の記事よりも正確になります——この記事も含めて。
- アリ対策を点検します。グリスは乾き、落ち葉は橋になります。小さな仕事ですが、忘れれば巣を一つ失います。
このシステムでは、世話をするたびにQRコードでたどれる巣ごとの日誌に記録されます——日時、作業した人、写真。見栄えのためではありません。数年たったとき、その日誌こそが、どの群が本当に健康なのか、蜂蜜がどこから来たのかを教えてくれるからです。
