ハリナシバチの飼育を、木のうろにあった野生の群を取ってきて、その丸太ごと庭に置いておくところから始める方は少なくありません。この方法でもうまくいきますし、ハチも元気に暮らします。
問題が出てくるのは、その巣に対して何かをしようとしたときだけです。健康状態を確かめる、増殖のために分蜂させる、蜜を採る——その段になると、丸太はブラックボックスになります。中を見るには、のこぎりで切るしかありません。
三種類の巣箱と、その本当の長所・短所
自然の樹洞
群は自分で選んだ場所にそのまま留まり、受ける乱れは最小限です。しかし点検はほとんどできず、巣を壊さずに分蜂させることもできず、採蜜となれば内部構造に手を入れざるを得ません。庭に群を置いておくこと自体を楽しみ、果樹の受粉に役立てば十分、という方に向いています。
一段式の巣箱
蓋の開く簡単な木箱です。安価で作りやすく、点検もできますが、蓋を開けると巣全体が開いてしまいます。育児区と貯蜜区が同時にさらされるのです。群が受ける衝撃は大きく、採蜜の際に育児巣を傷つけずに済ませるのも困難です。
二段式の巣箱 — 現在もっとも広く使われている形
下段はハチが育児区を作る場所、上段は貯蜜用で、二段の間には仕切り板が入ります。大きな利点は、下段の育児巣に手を触れずに上段から採蜜できることです。
分蜂もずっと手際よく行えます。巣全体を掘り返さずに、段ごとに分けられるからです。
短所は、作るのに手間がかかり、値段も高く、ハチが上段へ上がることを「受け入れる」までに時間がかかることです。とはいえ、三群以上を本格的に飼うつもりなら、お金をかける価値のある選択です。
寸法と材料
どの地域にも当てはまる唯一の数字はありませんが、いくつかの原則はあります。
- 大きく作りすぎないこと。ハリナシバチの群は小さいものです。巣箱が広すぎると、空間全体の保温と保湿に足りるだけの蜂数がなく、巣の構造が薄く広がってしまいます。
- 板厚は2〜2.5cm。薄い板は熱を通しやすく、昼は焼けるように暑く、夜は冷え込みます。厚い板は温度を安定させます。経験のある方が薄いベニヤ板を使わないのはこのためです。
- においがなく、薬剤処理をしていない木材。挽いたばかりの木材はまだにおいが強いので、数週間干してから使います。内側の面に塗装をしたり、防腐油を塗ったりすることは絶対に避けてください。
- 巣門は小さく。数匹が同時に出入りできる程度で十分です。巣門が広いと群は見張りにくくなり、よそのハチやアリが蜜を奪いに入る道を開くことになります。
巣箱の設置:四つの条件
初心者向けの飼育ガイドで詳しく述べましたが、要点は朝日が当たること、雨をしのげること、地面から離すこと、静かなことです。
もう一つ、あまり気づかれない点があります。巣門に目印をつけることです。巣門の脇に小さく色を塗るか、見分けやすい固定物のそばに巣箱を置きます。ハリナシバチは周囲の目印で位置を覚えます。同じ形の巣箱をいくつも並べておくと、外勤から戻ったハチが別の巣に入り込み、争いの元になります。
よくある失敗
プラスチック箱や発泡スチロール箱を使うこと。安くて軽いのですが、プラスチックは昼間ものすごく熱を持ちますし、発泡スチロールは湿気をため込んでカビやすくなります。日なたに置いたプラスチック箱の中で暑さのために死んだ群は、これまで数多くあります。
巣箱をいくつも近づけて並べ、巣門を同じ向きにすること。ハチが巣を間違えます。巣門の向きをずらすか、少なくとも1メートルは離し、それぞれに見分けのつく目印をつけてください。
アリ対策を忘れること。巣箱の脚には牛脂を塗るか、水を張った器に立てておきます。油脂は乾きますし、落ち葉がアリの橋渡しになるので、定期的に点検してください。
「暖かくするため」と箱を密閉すること。巣は湿気を逃がす必要があります。密閉すると結露し、カビが生え、育児巣も蜜壺も駄目になります。
自作するか、既製品を買うか
基本的な木工の腕があり、良い木材を手に入れられるなら、自作できます。費用は安く済み、自分の巣箱のことを隅々まで把握できます。
最初から寸法の整った巣箱がほしい方、あるいは複数の群を飼っていて、のちの分蜂や段の入れ替えを楽にするために規格のそろった巣箱が必要な方には、既製品のほうが向いています。設置手順書付きの標準巣箱をご覧ください。
