これはいちばん多く聞かれる質問であり、同時にいちばん不誠実に答えられている質問でもあります。
具体的な利益の数字はお出ししません。あなたの農園がどこにあるのか、蜜源はどうか、誰に売るのかも知らないまま自信たっぷりの数字を差し出す人がいるとすれば、その数字は物を売るためのものであって、あなたが判断するためのものではないからです。
代わりに、儲かるかどうかを本当に左右する変数をお伝えします。
ハリナシバチという生き物の経済的な特徴
計算に入る前に、押さえておくべきことが二つあります。
収量はとても少ない。一つの巣(群)から一年かけて採れる蜂蜜はごくわずかで、ふつうのミツバチには遠く及びません。これは生き物としての性質であって、技術が未熟なせいではありません。高収量を約束する人がいたら、種を取り違えているか、種群を売ろうとしているかのどちらかです。
販売価格は高い。希少だからこそです。これが少ない収量を埋め合わせます。
ですから課題は「たくさん飼ってたくさん売る」ことではなく、「本来の価値どおりに売るにはどうするか」です。これは量の問題ではなく、ブランドと信頼の問題です。
収入源は四つ、蜂蜜だけではありません
蜂蜜を売ることしか考えていない人は、たいてい採算が合わないと感じます。実際に回っている経営は、どれも複数の収入源を持っています。
- 蜂蜜の販売。いちばん馴染みのある収入源ですが、最大とはかぎりません。
- 種群の販売。健全な巣(群)は年に一度、分蜂で子群を取れます。多くの養蜂家にとってはこちらが主な収入で、しかも蜂蜜ほど花期に左右されません。
- そのほかの生産物。花粉やプロポリス。量は少ないものの、単価が高いのが特徴です。
- サービス。技術指導、ほかの方の農場の立ち上げ支援、見学・体験の受け入れ。景色がよく、語れる物語のある農場なら、天候に左右されないぶん、これがいちばん安定した収入になることもあります。
初期費用の中身
具体的な金額は地域と規模によりますが、項目はいつも次のとおりです。
- 種群——巣の数で決まる、いちばん大きな出費。
- 巣箱——自作すればずっと安く済みます。
- 農園周辺の蜜源整備——計画のときに忘れられがちですが、群れが健全に育つかどうかを直接左右します。
- 基本的な道具——多くはありません。ハリナシバチは刺さないので、大がかりな防護具は要りません。
- 技術の習得——独学でもできますが、きちんと学べば時間が短くなり、最初の一年で失う群も減ります。
ほかの多くの農業モデルと比べると、ハリナシバチの初期投資はほどほどで、毎年の運営費はきわめて低く抑えられます。餌代も薬代もかからず、手間もほとんどかかりません。
成否を決める四つの要素
1. 農園周辺の蜜源
ほかのすべてを合わせたより重要です。花の乏しい農園では、どれほど腕が良くても群れは育ちません。群を買う前に、家の周り半径数百メートルを一周して、自分に問いかけてみてください。ここでは一年のうち何月に花が咲くのか?
2. 売れるかどうか
多くの人が夢を打ち砕かれるのがここです。蜂蜜を採るのと、しかるべき値段で売るのとは、まったく別の話です。
ハリナシバチの蜂蜜はふつうの蜂蜜の何倍もします。この蜜を知らないお客様は、開口一番「どうしてそんなに高いの」と尋ねます。答えられなければなりませんし、さらに大事なのは証明できることです。
だからこそ、トレーサビリティは飾りではないのです。お客様がコードを読み取り、どの巣で、どの農場で、いつ採ったのかまで見えれば、「どうしてそんなに高いの」という問いには自ずと答えが出ます。
3. 採算に乗る規模
庭に数群置くのは趣味です。家で使う蜜が採れ、果樹の実付きも良くなります。やる価値は十分ありますが、それを事業とは呼ばないでください。
収入にするには規模が要り、規模にはそれに見合う蜜源が要ります。小さな農園にたくさんの巣を詰め込んで、そのすべてが健全に育つことを期待するのは無理です。
4. 最初の一年を辛抱できるか
一年目はほとんど収入になりません。群が落ち着くには時間がかかり、一年目は採蜜しないというのが正しい助言です。半年で元を取るつもりで入ってくる人は、必ず失望します。
向いていない三つのタイプ
お金を無駄にしないよう、はっきり申し上げます。
- すぐに収入が必要な方。これは長期の取り組みです。
- 周囲で農薬散布が多い土地にお住まいの方。農薬が濃密に撒かれる地域では、どんな技術でも群れは救えません。
- 販売が好きではない方。飼うことだけをしたくて売り先は誰かに任せたいのであれば、最初から提携や委託販売の仕組みを探してください。自分で飼ってから蜜を抱え込むことにならないように。
では、どう始めればよいか
いちばんリスクの小さい道は、小さく始め、しっかり学び、それから広げることです。一年目は数群だけ持ち、ハチのことと自分の農園のことを理解します。群れがよく育ち、それでも面白いと感じられるなら、そのときは自分の巣から分蜂で増やしましょう。安く済み、土地にも合っています。
もっと早く進めたい方は、協業による拡大モデルをご覧ください。手順も、識別番号のついた種群も、販路もそろっており、その代わり共通の基準に従っていただきます。あるいは、自分でやりたいけれど初期は指導が必要という方には技術移転パッケージがあります。
